微分代数を用いたモデル解析のシステムバイオロジーへの応用

日時

2019年6月24日(月)16:30〜18:00

 

場所

京都大学理学研究科 3号館 数学教室110号室 
アクセス 建物配置図(北部構内)【5】の建物

 

講師

小松 瑞果氏(神戸大学大学院システム情報学研究科)

 

要旨

システムバイオロジーは、生体内の様々な現象を、その相互作用などを含めて統合的に解析する分野である。多くの場合、着目する系は、数理モデルで表され、これを用いた解析を行う、例えば、系から観測された時系列データを用いてモデ ルパラメータを推定することにより、パラメータが表す生物学的機能などを解析する。しかし、実験に関する様々な制約から、データが十分に得られず、パラメータが一意に定まらない場合がある。本講演では、このような問題に対する、微分代数を用いた解析手法を紹介し、実問題への応用例を示す。


開催報告

2019年6月24日に開かれた MACS SG4 外部セミナーでは、神戸大学の小松瑞果さんに「微分代数を用いたモデル解析のシステムバイオロジーへの応用」という題名でご講演いただきました。

 

講演の中心となったテーマは「与えられた数理モデルの一部の状態変数のみが観測できるとき、その数理モデルのパラメータを一意的に特定可能か」という同定可能性の問題です。この問題には、実際のノイズや欠損が有る入力からいかに特定するかという数値的な側面と、「そもそもデータに合致するという条件だけならノイズがまったくない状況でも絞り込みに限界がある」という可能性を調べる構造的な側面があります。講演では、小松さんの動機となったアレルギーの研究やそれに用いた数値的なアプローチの紹介から始まり、次いで構造的なアプローチにいかに微分代数やグレブナー基底を用いるのか、及びその数値的なアプローチとの関連と応用例をご紹介いただきました。

 

聴衆はSG4の参加者を含む13名で、分野は医学から数理物理、応用数学、整数論と多岐にわたりました。多くの質問がなされ、講演後も活発な議論が行われるなど、大変有意義な時間となりました。
(文責:石塚裕大)